シャドー・オブ・ナイト

インドネシア
邦題シャドー・オブ・ナイト
原題The Night Comes for Us
公開年2018
製作国インドネシア
監督ティモ・ジャヤント
主演ジョー・タスリム、イコ・ウワイス

概要

『シャドー・オブ・ナイト』は、組織の処刑人イトウが、とある村を全滅させようとしていたが、唯一生き残った少女レイナに同情して殺すことが出来ず、組織の掟を破って逃げたため、少女を保護しながら追っ手と戦う映画である。

この映画は血まみれのアクションとしては勢いがある。肉弾戦も刃物戦も派手で、見せ場も多い。ただ、リベンジ映画として見ると無理がある。そもそもイトウの目的は報復ではなくレイナの保護であり、リベンジ要素としてはかつての盟友の裏切りに対して報復する程度である。しかもイトウ自身が虐殺していた側の人間であり、同情するのは厳しい状況だ。

※採点基準の概要は「リベンジ映画鑑定要領(概要)」をご覧ください。

1 不条理(過失相殺)1/5
2 喪失(損害規模)2/5
3 被侮蔑(ナメられ)2/5
4 報復対象(安定性)3/5
5 敵の悪(邪悪性)5/5
6 後味(生存希望)2/5
7 配役(適正顔)3/5
8 演技(感情伝達)3/5
9 演出(爆発の美学)3/5
10 伏線回収(因果応報の設計)2/5
11 倫理の納得感(観客同調)2/5
12 敵の歯ごたえ(障害強度)4/5
基礎点合計(1〜12)32/60

基礎点の根拠

1 不条理:1/5
イトウは堅気ではない。六海の一員として村の虐殺に参加しており、そのあと追われるのも、自分がいた外道の世界の報いである。

2 喪失:2/5
地位も逃走先も失い、昔の仲間も死ぬ。ただし家族や平穏な生活を奪われる型ではない。燃料としては弱い。

3 被侮蔑:2/5
チエン・ウーはイトウを切り捨て、アリアンには「イトウを殺せばその席をやる」と持ちかける。駒として扱われてはいる。ただ、敵は最初からイトウを危険人物として見ており、あからさまに侮る型ではない。

4 報復対象:3/5
敵は大きく見ればチエン・ウーと組織で安定している。ただ、この映画の中心は復讐ではなく逃走と迎撃である。レイナの保護、アリアンとの決着、古い仲間との清算が並ぶので、報いの軸は強く一本化されない。

5 敵の悪:5/5
村人の虐殺、少女の殺害命令と、敵は外道である。悪の質自体は高い。

6 後味:2/5
レイナは生き延びるが、イトウ自身の再生はない。最後はチエン・ウーの一味へ突っ込んで終わる。イトウもアリアンも最終的には組織に消される。

7 配役:3/5
ジョー・タスリムもイコ・ウワイスも絵になる。ただ、作品全体で見ると、敵側は記号的で騒がしいキャラが多く、人物の格がそこまで上がらない。主役二人だけで押し切る配役ではない。

8 演技:3/5
主役二人は役割を果たしている。だが、芝居で感情を積み上げる映画ではない。全体的に戦闘シーンでうなり声や怒号が過剰である。

9 演出:3/5
暴力の見せ方はうまい。そこは評価できる。ただし、イトウとアリアンの決闘は長く、女刺客の見せ方も怖さより見世物感が前に出る。勢いはあるが、巧みとは言い切れない粗さがある。

10 伏線回収:2/5
スナイパーに狙われているイトウをアリアンが救ったものの、結果的にこの二人は死闘を繰り広げることになり、瀕死のアリアンは組織に消され、ラストでイトウも自滅する。昔は盟友という設定が回収されない。

11 倫理の納得感:2/5
責任を感じたのか、レイナを守ろうとしている行動は理解できる。だがイトウ自身はその直前まで虐殺側にいてレイナの両親を殺した側の人間であり、劇中でそのことについての後悔や葛藤で苦悩している様子もあまり感じられない。イトウは自身の行いについて悔い改めている様子でも無く、レイナに対しての責任も全うせず、自己中心的なキャラクターにしか見えない。

12 敵の歯ごたえ:4/5
相手は六海の組織であり、アリアン、アルマ、エレナ、チエン・ウーの手勢と、物理的な壁は厚い。最後まで消耗戦を強いられるので障害としては重い。

最終鑑定点:64/300(基礎点合計×決着成立度)

格付け:D級(不発)

『シャドー・オブ・ナイト』はそもそも復讐劇というより、組織の掟に背き少女の命を守ることを選んだ男が刺客と派手に戦うアクション映画である。王道のリベンジ映画ではない。それがこの点数の理由である。

雑記

そもそもリベンジ映画として鑑定するような作品では無かった。

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