ロサンゼルス

アメリカ
邦題ロサンゼルス
原題Death Wish 2
公開年1982
製作国アメリカ
監督マイケル・ウィナー
主演チャールズ・ブロンソン

概要

映画『ロサンゼルス』は、マイケル・ウィナー監督、チャールズ・ブロンソン主演による1982年のアメリカ映画である。1974年の『狼よさらば』の続編だ。

前作で妻子を襲われたポール・カージーだが、今回は街でチンピラに財布を奪われたことが発端となり、その連中が財布を手がかりに自宅に押し入り、家政婦ロザリオを殺し、前作で生き残った娘キャロルを拉致する。暴行を受けたキャロルは逃げようとして窓から転落し、死亡する。ポールは家政婦と娘を襲った加害者たちを探し出して始末していく。

前作と比べるとこの映画の骨格は明快になっている。前作のポールは妻子を襲った犯人ではなく、街の犯罪者全般へ怒りを向ける自警団的な男だったが、今回は自宅を襲い、二人の命を奪った特定の連中だけを追う。報復対象が最初から最後まで一本に絞られているため、復讐劇としての筋は通っている。

ただし、その明快さは強引な代償の上に成り立っている。前作で生き残ったキャロルを本作でもう一度被害者にし、その死を新たな燃料に使う構造は、設計として相当に荒い。警察や世論の反応も前作ほど丁寧には描かれず、映画の重心はポールが加害者に復讐する部分を中心に描かれる。前作に引き続き登場するオチョア刑事の最後の台詞やポールが救った被害者の発言に私刑礼賛の気配は残るが、前作ほどの社会的な広がりはない。

※採点基準の概要は「リベンジ映画鑑定要領(概要)」をご覧ください。

1 不条理(過失相殺)5/5
2 喪失(損害規模)5/5
3 被侮蔑(ナメられ)4/5
4 報復対象(安定性)5/5
5 敵の悪(邪悪性)5/5
6 後味(生存希望)3/5
7 配役(適正顔)5/5
8 演技(感情伝達)3/5
9 演出(爆発の美学)3/5
10 伏線回収(因果応報の設計)2/5
11 倫理の納得感(観客同調)4/5
12 敵の歯ごたえ(障害強度)3/5
基礎点合計(1〜12)47/60

基礎点の根拠

1 不条理:5/5
ポールは財布を奪われ、財布のIDカードを見た連中が自宅に押し入り、家政婦と娘が被害に遭う。被害の出発点は完全に一方的である。

2 喪失:5/5
家政婦のロザリオが殺され、娘のキャロルも死ぬ。しかもキャロルは前作で辛うじて生き残った娘である。前作で妻を失い、続編で娘まで失った喪失感は最大級である。

3 被侮蔑:4/5
連中はロザリオを脅し、キャロルを「顔を見られた」という理由で拉致監禁する。被害者を人間として扱わない型だが、ポール本人を長くなぶり続ける構造ではない。

4 報復対象:5/5
前作と比べ、ここが最も明確に改善されている。ポールが追うのは、自宅を襲い、ロザリオを殺し、キャロルを死に追いやった連中だけである。報いの向き先は最後までぶれない。

5 敵の悪:5/5
住居侵入、家政婦への暴行と殺害、娘の拉致と集団暴行、そして死。加害の内容は具体的で重く、情状酌量の余地がない。

6 後味:3/5
ポールは加害者を全員倒し復讐は完了する。しかし、ロザリオもキャロルも戻らないうえに、婚約者のジェリはポールが犯人だと確信して彼の元を去る。

7 配役:5/5
ブロンソンの顔は、この種の報復者としてほとんど反則である。しゃべらずとも狙って撃つだけで絵になる。

8 演技:3/5
チャールズ・ブロンソンはともかく、ビンセント・ガーディニア演じるオチョア刑事のコミカルで人情味のある演技が光る。

9 演出:3/5
キャロルの転落死は衝撃的だ。最後の敵を感電死させるシーンにもう一工夫ほしかった。

10 伏線回収:2/5
財布を奪った連中がそのままポールの家を襲う因果は単純でわかりやすい。序盤に張った伏線を回収するタイプの映画ではない。

11 倫理の納得感:4/5
前作と異なり犯人達に報復するという意味では倫理的な問題は無い。

12 敵の歯ごたえ:3/5
5人の敵を倒す必要があったが、ラスト以外は死闘というほどでもない。

最終鑑定点:188/300(基礎点合計×決着成立度)

格付け:C級(佳作)

『ロサンゼルス』は、前作よりリベンジ映画としての正確が強まった。報復対象は明確で、ポールは加害者を自分の手で始末していく。その点で前作より項目4と13は上がり、評点も伸びる。ただし、その明快さは娘のキャロルをもう一度被害者にするという強引さの上に成り立っている。燃料と決着は強いが、話の組み立ては単純で、前作にあった社会的な広がりは薄い。188点、C級。続編として機能はしているが、あくまで前作のリメイク感が拭えない。

雑記

暴行されて無表情で横たわるキャロルが突然起き上がって走り出し、迷うことなく窓を突き破って飛び降りて柵に突き刺さって死亡するシーンがあるが、あれは不慮の事故なのかそれとも自殺なのか。逃げようとした結果意図せず死んでしまったということなのだろうが、走り出す前の彼女の表情は死の覚悟を決めたようにも見えるし、だから躊躇せず窓に突っ込んでいったようにも見える。どっちなんだろうか。何れにしても、前作で酷い目に遭って精神的に病んでしまった女の子を、次作でさらに追い打ちをかけて、それをカタルシスの燃料にするというのはいかがなものか。

コメント