作品情報
| 邦題 | デッド・オア・リベンジ |
| 原題 | Landmine Goes Click |
| 公開年 | 2015 |
| 製作国 | ジョージア |
| 監督/脚本 | レヴァン・バキア/エイドリアン・コルッシ、レヴァン・バキア、ロイド・S・ヴァグネル |
| 出演 | スターリング・ナイト、スペンサー・ロック、ディーン・ガイヤー、コテ・トロルダヴァ |
概要
微妙な三角関係のアメリカ人の若者3人、クリス、アリシア、ダニエルがジョージアの自然の中でトレッキングをしていたところ、クリスがうっかり地雷を踏んでしまって身動きが取れなくなってしまった。携帯は圏外、助けを呼びに行くにも片道4時間はかかる。
だが実は、影で浮気していたアリシアとクリスに対するダニエルが仕組んだ復讐だった。2人に厳しい言葉を投げかけて去っていくダニエル。残されたアリシアはクリスを助けようとするが確実に救う方法がわからない。そんなところに猟銃を持ち犬を連れた地元民のイリアが現れた。クリスとアリシアはトランシーバーを持っているイリアに助けを求めるが、そんな切羽詰まった状況であるにもかかわらず、イリアはアリシアに対して不条理な要求をしてくる。アリシアはクリスを助けたい一心で要求を受け入れるが埒が明かない。そしてついにイリアは動けないクリスの目の前でアリシアをレイプしてしまう。怒りに燃えるクリスはイリアの猟銃を手に取るが、誤ってアリシアを撃って死なせてしまう。
そして、ある日のこと、道に迷った旅行者を装ったクリスがイリアの自宅に現れた。
鑑定報告(Ver 1.4基準)
※採点基準の概要は「リベンジ映画鑑定要領(概要)」をご覧ください。
| 1 不条理(過失相殺) | 3/5 |
| 2 喪失(損害規模) | 3/5 |
| 3 被侮蔑(ナメられ) | 5/5 |
| 4 報復対象(安定性) | 5/5 |
| 5 敵の悪(邪悪性) | 4/5 |
| 6 後味(生存希望) | 1/5 |
| 7 配役(適正顔) | 4/5 |
| 8 演技(感情伝達) | 5/5 |
| 9 演出(爆発の美学) | 4/5 |
| 10 伏線回収(因果応報の設計) | 3/5 |
| 11 倫理の納得感(観客同調) | 1/5 |
| 12 敵の歯ごたえ(障害強度) | 3/5 |
| 基礎点合計(1〜12) | 41/60 |
基礎点の根拠
1 不条理:3/5
そもそもの発端は、アリシアはダニエルの婚約者であるにもかかわらず、ダニエルの親友であるクリスと浮気し、クリスは黙っていることが出来ず、トレッキング前にダニエルに打ち明けてしまっていたことだ。結局地雷は偽物だったため、ダニエルにしてみればかなりキツめのお仕置きのつもりだったということになるが、まさか結果的にあんなことになるとは予想できなかっただろう。結婚するアリシアとダニエルのことを思えばこそ、クリスは秘密にしておくという選択肢もあったし、クリスは自身の罪悪感を軽くするために自白したのだとしたらたちが悪い。
ダニエルのお仕置きはやりすぎとは言えども、発端はクリスにあり完全に不条理とは言えない。イリア登場後、アリシアがイリアから受けた被害は完全に不条理で屈辱的と言えるが、犬に襲われたというトラブルがあったとは言えども、結果的にアリシアを撃ったのはクリスだ。アリシアにしてみれば、滅茶苦茶にしてくれたクリスを見捨てて去るという選択肢もあったわけだが、そうせずにただクリスを助けるために残ったばかりに、イリアに散々嫌がらせをされた挙句にレイプされ、結果的にクリスに撃たれて命を落とすことになってしまったのだ。クリスにしてみれば踏んだり蹴ったりかもしれないが、それもこれも発端はクリスのダニエルに対するはた迷惑な罪の自白であり、まさに口は災いのもとであり、雉も鳴かずば撃たれまいだ。
2 喪失:3/5
本作はダニエルの復讐から始まって、クリスの復讐につながっていくが、あくまで映画としてはクリスの復讐がメインだ。それでクリスは何を失ったか。映画的にはイリアという変態のせいでアリシアを失った。しかし、本作でいちばんの被害者はダニエルとも言える。婚約していたアリシアを親友と思っていたクリスに寝取られたうえに、聞きたくもない話まで聞かされ、しかもそのアリシアを理由はどうであれクリスに撃たれる。ダニエルが失ったもののほうが大きそうに見えるが、本作はあくまでクリスの復讐譚だ。
3 被侮蔑:5/5
クリスのダニエルに対する侮蔑も甚だしいが、イリアのアリシアに対する侮辱的な振る舞いは特筆すべきものがある。
4 報復対象:5/5
本作はダニエルのクリスに対する復讐がきっかけとなり、クリスのイリアに対する復讐につながるという明確な流れだ。
5 敵の悪:4/5
イリアの悪ということになるが、地雷は偽物であると知ったうえでクリスやアリシアに散々嫌がらせを行い、アリシアをレイプした結果、事故によりアリシアは死んでしまう。アリシアは即死でなかったため、無線で救助の要請をすることも出来たはずだが、自身の犯した犯罪の発覚を恐れてか、その場に2人を放置した罪は重い。
6 後味:1/5
非常に良い後味の悪さだ。延々イリアの胸糞を見せつけられて、最後もスッキリさせないという計画的な後味の悪さだ。
7 配役:4/5
何と言ってもイリア役のジョージアの俳優コート・トロルダヴァのインパクトが強い。
8 演技:5/5
ジョージアの俳優コート・トロルダヴァ演じるイリアの胸糞の悪さが素晴らしい。ラストで娘を射殺してしまったクリスの驚きや困惑の混じったなんとも言えない絶妙な表情と間が、本作の後味をスッキリさせないという狙いにハマっているのではないか。
9 演出:4/5
トレッキングの野営地とイリアの自宅というほぼ限られた場所で、イリアの胸糞を高いところで維持しつつ、緊張感も維持しつつ、ラストの唖然につなげるという、胸糞を散々積み上げてスッキリさせないという狙い通りの演出だろう。映画の中のロシアンルーレットというと、普通はディア・ハンター(1978年アメリカ)のように引き金を引くまでに溜めがあり、それがロシアンルーレットならではの緊張感を高めるが、本作は自分で引き金を引かないので状況は同じとはいえないが、クリスがテンション高めでワーワー言いながら溜めも無くイリアの娘の頭に向けて引き金を引いたら、まさかの弾が出ちゃってクリス本人も唖然とする感じが非常に生々しい。
10 伏線回収:3/5
クリスのはた迷惑で自己満足のための告白がきっかけとなり、最後は因果応報的に惨事に至るという流れは一貫している。また、アリシアが死んだのはある意味犬のせいだとも言えるため、その犬にまできっちり報いを受けさせている。
11 倫理の納得感:1/5
イリアの行いに擁護できる部分は微塵もないため、クリスの復讐心はもっともだとは思うが、発端はクリス自身にあるということと、アリシアの死は事故だとは言えどもクリスにも責任の一端はある。クリスの狙いはあくまでイリアであり、イリアの家族に対して殺意はなかったとしても、結果的に両親の眼の前でしかもロシアンルーレット方式で全く罪のない娘を射殺するというのは、もはやマフィアの手口であり、明らかに過剰で納得できるものではない。
12 敵の歯ごたえ:3/5
野営地でのイリアとの攻防戦はクリスが全く動けないという特殊な状況で、しかもイリアは銃を持っているという、クリスやアリシアにとっては悪夢のような状況だが、イリア本人の攻撃力が特別に高いというわけではない。
13 決着成立度(倍率): ×3
クリスの狙いであるイリアに恐怖と屈辱を与え、絶望させることには成功したのだろうが、その代償としてクリス自身も相応の精神的ダメージを受けたと思われる。
最終鑑定点:123/300(基礎点合計×決着成立度)
格付け:D級(不発)
総評
本作の監督はこのエンディングありきで撮ったそうだ。つまり、観客に復讐のカタルシスを与えるつもりは最初から毛頭なく、煽って煽って最後はドン引きさせて終わらせる気満々だったということだ。実際ドン引きした。クリスも自身の行為の結果にドン引きしていたようにも見える。散々イリアが胸糞燃料を圧縮して、最後に点火してドカンと炸裂するかと思いきや、毒ガスが吹き出し、観客はカタルシスを得ずに毒を食らう。当然執行カタルシス型としてスコアが伸びる作品ではないが、復讐してもスッキリしないことの伝え方は非常にわかりやすい1本だ。
雑記
原題の『Landmine Goes Click』は、つまりクリスが地雷を踏んだときのカチッというクリック音が聞こえたときの恐怖を表している。ダニエルやクリスそれぞれの復讐のスイッチが入ったことの含みとも、ラストにイリアの娘を射殺してしまったクリスの心情ともとれる。当然だが、映画の作り手は意味を込めてタイトルをつけている。だが、『Landmine Goes Click』だとなんの映画だかわからんと思ったから『デッド・オア・リベンジ』という英語としてもよくわからないようなタイトルを雰囲気でつけたのだろう。本作に限らないが、原題の意味を伝える努力もせず、邦題を適当につけるのはいかがなものかと思う。
イリアを演じたコテ・トロルダヴァ(Kote Tolordava) は本作の公開前後あたりで亡くなってしまったそうだ。非常にハイレベルな胸糞を演じられる貴重な俳優だと思ったのだが、非常に残念だ。

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