REVENGE リベンジ

フランス
邦題REVENGE リベンジ
原題Revenge
公開年2017
製作国フランス
監督コラリー・ファルジャ
主演マチルダ・ルッツ

概要

映画『REVENGE リベンジ』は、コラリー・ファルジャ監督、マチルダ・ルッツ主演による2017年のフランス映画である。物語は、既婚者リチャードの愛人であるジェニファーが休暇で訪れた砂漠の別荘でリチャードの友人から性的暴行を受け、しかも証拠隠滅のために崖から突き落とされたが奇跡的に生還し、そこから自力で反撃へ転じていくという形で進む。

※採点基準の概要は「リベンジ映画鑑定要領 Ver1.3(概要)」をご覧ください。

1 不条理(被害者の無実性)4/5
2 喪失(奪われたものの重さ)4/5
3 被侮蔑(加害者からの見下し)5/5
4 標的(復讐対象の明確さ)3/5
5 敵の悪(情状酌量の余地)5/5
6 後味(結末のカタルシス)4/5
7 配役(復讐者の説得力)4/5
8 演技(感情の爆発度)5/5
9 演出(執行のスタイリッシュさ)5/5
10 伏線回収(因果応報の納得感)3/5
11 倫理の納得感(観客の同調率)5/5
12 敵の歯ごたえ(難易度と落差)4/5
基礎点合計(1〜12)50/60

基礎点の根拠

1 不条理:4/5

ジェニファーは完全に無垢ではない。既婚者との関係を承知で別荘に来ている以上、軽率さはある。ただし、その落ち度に対して加えられる被害はあまりにも過剰である。性的暴行、殺害未遂、執拗な追跡のどれも正当化できない。4点が妥当である。

2 喪失:4/5

家族全滅や生活基盤の完全崩壊ではないが、身体の尊厳を踏みにじられ、命まで奪われかける被害は重い。損害規模としては十分に高い。

3 被侮蔑:5/5

ジェニファーは一人の人間として扱われず、男たちの楽しみの対象であり、いざとなれば厄介扱いされ、最後は処分すべき存在として見られる。侮蔑の濃さははっきりしている。

4 標的:3/5

主犯はリチャードだが、怒りがリチャードのみに集中することはなく、三人全員に怒りの矛先は向かっている。小規模グループへの報復として処理するのが適切である。

5 敵の悪:5/5

性的暴力、殺害未遂、口裏合わせ。そのうえ彼らを動かしているのは後悔ではなく保身である。加害の質は悪く、同情の余地も乏しい。観客の怒りを濁らせる要素が少ない点も大きい。

6 後味:4/5

ジェニファーは瀕死の重傷を負いながらも奇跡的に生還して、自分の手で決着をつける。ジェニファーは生き方について考え、より良く生きることを予感させるエンディングだ。完全再生までは描かれないため5点にはしないが、希望の残る終わり方として4点が妥当である。

7 配役:4/5

マチルダ・ルッツは、前半の軽さを単なる無防備さで終わらせず、後半では痛みと執念を身体の変化として見せている。復讐者への転化を画面上で納得させるだけの仕事はしている。一方、敵側も下劣さと保身の醜さをきちんと出しており、復讐劇の燃料を支えている。ただし、伝説級の配役とまでは言わない。

8 演技:4/5

この映画は台詞で押す作品ではない。身体、視線、呼吸、傷の見せ方で感情を運ぶ場面が多い。その点で主要キャストは十分に機能している。敵の下劣さも明確に伝わる。ただし、演技単体の力で圧倒するというより、演出と一体になって効いてくるタイプである。

9 演出:5/5

本作の点数を大きく押し上げているのはここである。砂漠の乾き、血の粘り、傷の痛み、追跡の緊張、反撃の高揚。その全部を色と音とテンポで押し切る。写実に寄せすぎず、誇張を恐れない判断も正しい。復讐の見せ場を成立させる演出は高水準である。

10 伏線回収:3/5

話はかなり直線的である。前半の配置が終盤で鮮やかに返ってくる構造的な快感はそこまで大きくない。構造で唸らせる作品ではなく、反撃の連続で押し切る映画として見るべきだろう。標準点で十分である。

11 倫理の納得感:5/5

ここは5点で問題ない。ジェニファーに軽率さはあっても、だからといって性的暴行や殺害未遂が許されるわけではない。リチャードをはじめ三人ともジェニファーに明確な殺意を向けており、彼女の反撃は正当な報復として受け取りやすい。観客が距離を置く理由はほとんどない。

12 敵の歯ごたえ:4/5

相手は複数で、武器もあり、地の利もある。ただし、個々の戦闘力が特別に高いわけではなく、巨大組織や圧倒的な強敵というほどではないが、彼女にとっては強敵であろう。

最終鑑定点:250/300(基礎点合計×執行精度)

格付け:B級(良作)

『REVENGE リベンジ』は、構成の精巧さで上位に入る作品ではない。だが、復讐の理由、加害者の悪、主人公の反撃、執行の決着が一直線につながっており、カタルシス観点のリベンジ映画として点数が伸びやすいパターンの作品だ。また、派手さが先に立つ一本に見えるが、実際にはかなり筋の通った復讐映画である。特級には届かないが、燃料、倫理、執行精度ともに申し分なく、カタルシス観点のリベンジ映画としては十分に評価できる。

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