悪党に粛清を

イギリス
邦題悪党に粛清を
原題The Salvation
公開年2014
製作国デンマーク・イギリス・南アフリカ
監督クリスチャン・レヴリング
主演マッツ・ミケルセン

概要

『悪党に粛清を』は、家族を殺された男が復讐を果たす映画である。主人公ジョンは七年ぶりに故郷のデンマークから妻子を呼び寄せて自宅に向かうが、その道中でジョンは脅されて駅馬車から放り出され、同乗していた二人組に妻子を殺される。ジョンは犯人を追いかけ始末するが、その片方が街を牛耳るデラルーの弟だったため、ジョンはデラルーたちに狙われることになる。

※採点基準の概要は「リベンジ映画鑑定要領(概要)」をご覧ください。

1 不条理(過失相殺)5/5
2 喪失(損害規模)5/5
3 被侮蔑(ナメられ)5/5
4 報復対象(安定性)5/5
5 敵の悪(邪悪性)5/5
6 後味(生存希望)4/5
7 配役(適正顔)5/5
8 演技(感情伝達)5/5
9 演出(爆発の美学)5/5
10 伏線回収(因果応報の設計)3/5
11 倫理の納得感(観客同調)5/5
12 敵の歯ごたえ(障害強度)3/5
基礎点合計(1〜12)55/60

基礎点の根拠

1 不条理:5/5
ジョンは久しぶりに再開した家族をデラルーの弟らに奪われる。ジョン側に落ち度はない。しかも、デラルーは弟を殺した犯人の身代わりとして無関係の町民三人を殺し、街を恐怖で支配する。理不尽はジョンだけでなく、町全体に広がる。

2 喪失:5/5
ジョンが失うのは妻と息子だけではなく、拘束されたジョンを救い出した兄ピーターまで失う。喪失の重さは最大級である。

3 被侮蔑:5/5
銃を向けられたジョンは馬車から放り出され、結果妻子を殺される。町長も保安官もジョンを売る側に回る。しかも町長キーンは拘束されたジョンからブーツを奪い、土地代も奪う。無力化された相手から、尊厳も財産も平然と剥ぎ取っていく。

4 報復対象:5/5
報いの向き先は最初から最後まで明確である。妻子を殺した犯人、街を支配するデラルーとその手下、それに加担する町長と保安官だ。

5 敵の悪:5/5
妻子殺しだけでも十分だが、デラルーは町を恐怖で支配し、無関係の住民を見せしめに殺し、デラルーの金を持ち逃げしようとしたマドレーヌを殺せと命じる。

6 後味:4/5
ジョンの家族は戻らないが悪党どもは粛清される。ジョンに唯一打倒デラルーの協力を申し出た正義に燃える雑貨屋の少年は敵を倒すが自分も返り討ちに合う。保安官にはとどめを刺さずに街を去らせる。そしてジョンを助けたマドレーヌと二人で街を去り、街に平和が訪れる。爽快ではないが心地よい余韻が残るエンディングである。

7 配役:5/5
マッツ・ミケルセンの顔つきは、この種の復讐者にぴたりとはまる。口数が少ないのに、立っているだけで何を失った男かが伝わる。エヴァ・グリーンの異様な佇まい、ジェフリー・ディーン・モーガンの下劣な笑いも世界観にはまる。

8 演技:5/5
マッツ・ミケルセンは静かに燃える。エヴァ・グリーンも、一言も喋らない役でありながら、目線と表情だけで屈辱、警戒、最後の意志を伝える。

9 演出:5/5
本作はテンポが良く無駄もない。怒りの燃料を積み上げてから一気に決着まですすむので、執行の気持ちよさが鈍らない。

10 伏線回収:3/5
精密な伏線映画ではない。物語はシンプルである。マドレーヌの立場や町長の裏切り、雑貨屋の少年が協力するに至った背景など、必要な材料は後半できちんと働く。

11 倫理の納得感:5/5
ジョンに対する同情と、デラルーに対する憎しみは揺らがない。妻子を殺され、保安官や町長にまで裏切られ、報復の筋は明快である。

12 敵の歯ごたえ:3/5
デラルー一味は数では優勢だが、絶望的な難敵というほどではない。町長や保安官を手なづけて町を牛耳っているぶん厄介ではある。

最終鑑定点:275/300(基礎点合計×決着成立度)

格付け:A級(特級)

『悪党に粛清を』は不条理、喪失、敵の悪、報復対象の明確さ、俳優の存在感、そして最後の決着までブレずに積み上げた怒りの燃料が不完全燃焼することなくカタルシスへつながっていく。物語はシンプルで且つ無駄なシーンがないためテンポもよく、理想的な執行カタルシス型リベンジ映画だ。

雑記

祖母が生贄になった雑貨屋の少年には是非とも町長か保安官のどっちかを倒してもらいたかったが。

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