作品情報
| 邦題 | ロボコップ |
| 原題 | RoboCop |
| 公開年 | 1987 |
| 製作国 | アメリカ |
| 監督 | ポール・ヴァーホーヴェン |
| 主演 | ピーター・ウェラー、ナンシー・アレン |
概要
主人公マーフィーは、デトロイト市警に配属された初日に相棒のルイスと共に警官殺しで指名手配中のボディッカー一味を追跡するが、ルイスとはぐれてしまい、マーフィーは捕まり蜂の巣にされ瀕死の状態で病院に運ばれ、オムニ社は法的には死亡しているマーフィーをサイボーグとして蘇らせることに成功、記憶を消去しロボコップとして実戦投入する。確実に成果を上げていくロボコップだが、消去したはずの家族との生活やボディッカーたちの記憶が断片的に蘇り、自分を殺した犯人とその黒幕に復讐する。
鑑定報告(Ver 1.4基準)
※採点基準の概要は「リベンジ映画鑑定要領(概要)」をご覧ください。
| 1 不条理(過失相殺) | 5/5 |
| 2 喪失(損害規模) | 5/5 |
| 3 被侮蔑(ナメられ) | 5/5 |
| 4 報復対象(安定性) | 5/5 |
| 5 敵の悪(邪悪性) | 5/5 |
| 6 後味(生存希望) | 5/5 |
| 7 配役(適正顔) | 4/5 |
| 8 演技(感情伝達) | 5/5 |
| 9 演出(爆発の美学) | 5/5 |
| 10 伏線回収(因果応報の設計) | 5/5 |
| 11 倫理の納得感(観客同調) | 5/5 |
| 12 敵の歯ごたえ(障害強度) | 5/5 |
| 基礎点合計(1〜12) | 59/60 |
基礎点の根拠
1 不条理:5/5
マーフィーは配属初日に警官殺しで指名手配中のボディッカー一味に銃撃され、瀕死の状態で病院に運ばれロボコップに改造される。マーフィーと犯人の間に因縁はない。
2 喪失:5/5
失ったのは自分自身だ。家族を失った男が復讐する話ではなく、自分を失った男が自分を取り戻す話だ。ボディッカー達とジョーンズに復讐する話ではあるが、同時にマーフィーは自分という存在そのものを取り戻そうとしている。
3 被侮蔑:5/5
ボディッカーはたまたま捕まえに来たマーフィーを返り討ちにしただけであり、モートンにとってマーフィーは自分の出世と贅沢な生活のための素材だった。
4 報復対象:5/5
ボディッカーとその黒幕ジョーンズという構造は最初から最後まで明確だ。
5 敵の悪:5/5
ボディッカーは31人の警官を殺した犯罪組織のボスで、ジョーンズは部下を殺すために組織犯罪を利用する腐敗幹部だ。二人とも情状酌量の余地がない。
6 後味:4/5
ボディッカー達もジョーンズも倒し、マーフィーは自我取り戻すが、妻と息子は既に別の生活を始めている。完全な再生ではない。
7 配役:5/5
ピーター・ウェラーはヘルメットの下の口元だけで人間性の残滓を表現する。カートウッド・スミスのボディッカーは笑い声だけで憎悪が積み上がる。二人とも代替不可能な配役だ。
8 演技:5/5
ウェラーは台詞をほぼ機械的に発しながら、わずかな間と動作で人間性の回復を見せていく。自宅を見に行く場面、ルイスに「マーフィー、あなたなのね」と言われる場面、最後に「マーフィー」と答える場面、いずれも説明なしに伝わる。
9 演出:5/5
マーフィーが死ぬ場面の残虐さ、ロボコップとして街へ出る場面の高揚感、自宅を訪れる場面の静けさ、鉄鋼所の最終決戦の緊張感。調子を使い分けながら一本の映画として保っている。ベイジル・ポールドゥリスによるBGMも非常に効果的で印象的だ。
10 伏線回収:5/5
息子が見ていたTJレイザーの拳銃さばきをマーフィーが真似していた場面が、ロボコップとして銃を扱う場面で回収される。第四指令の存在が前半のジョーンズの台詞に埋め込まれており、ボディッカーの自白がそのまま証拠として機能する。因果の設計が緻密だ。
11 倫理の納得感:5/5
マーフィーへの同情に揺らぎがなく、ボディッカーもジョーンズも外道として積み上げられており、最後まで迷いなく肩入れできる。
12 敵の歯ごたえ:5/5
ボディッカーはジョーンズを後ろ盾に強力な武器の調達を行い、ジョーンズはオムニ社の権力と第四指令でロボコップを縛る。物理的な強さと制度的な障壁の両方を突破しなければ決着がつかない構造だ。
13 決着成立度(倍率): ×4.5
ボディッカーもジョーンズもマーフィー自身の手で始末する。ただジョーンズだけは、会長の「クビだ」という一言で第四指令が解除されるまで手が出せなかった。その瞬間を待ち、引き金を引いたのはマーフィーだ。決着の所有権はマーフィーにある。鍵を他人が持っていた一点が、5.0倍との差だ。
最終鑑定点:265.5/300(基礎点合計×決着成立度)
格付け:A級(特級)
総評
『ロボコップ』は復讐映画に不可欠な燃料と執行の両方が極めて高い水準にある。マーフィーが奪われたものは命だけでなく、肉体、記憶、家族、名前、人間としての存在そのものだ。敵のボディッカーとジョーンズはともに情状酌量の余地がなく、最後はマーフィー自身がとどめを刺す。執行カタルシス型リベンジ映画に必要な要素がすべて揃っている。
また、この映画は敵に復讐して終わりという単純な話では無い。消去された記憶の中から自我を取り戻そうとする苦しみが、復讐への道と重なって進む。最後に名前を問われて「マーフィー」と答える。その一言が復讐の完成と自我の回復を同時に果たす。奪われたものを取り戻した瞬間がカタルシスになる構造だ。
雑記
アメリカ議会図書館のライブラリにターミネーターもブレード・ランナーも登録済みなのに、ロボコップまだ登録されていないのは何故だ!!!
【メモ】
復讐=自我の回復
死と復活の神話構造
敵の二層構造(実行犯と黒幕)
制度的障壁(ロボコップは好き勝手出来ない)
家族を戻さない結末
ルイスがロボコップに及ぼす影響
ED-209とロボコップの対比
警察の民営化
警官のストライキ
デトロイトの衰退と治安の悪化
貧困と犯罪の連鎖
公共サービスの崩壊
軍とオムニ社の癒着
企業内の権力闘争
ニュースとCM
ブラックユーモアと残虐さの共存
資本主義の暴走

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