作品情報
| 邦題 | デス・ウィッシュ |
| 原題 | Death Wish |
| 公開年 | 2018 |
| 製作国 | アメリカ |
| 監督/脚本 | イーライ・ロス/ジョー・カーナハン |
| 主演 | ブルース・ウィリス |
概要
『デス・ウィッシュ』は、1974年のチャールズ・ブロンソン主演『狼よさらば(原題:Death Wish)』の、ホラー畑のイーライ・ロスによるリメイクだ。犯罪に巻き込まれた被害者遺族が、自身の事件とは直接は無関係な犯罪者まで始末するいわゆる『自警団もの』だ。
ブルース・ウィリス演じる主人公のポール・カージーは腕のいい外科医で、妻のルーシー、大学進学を控えた娘のジョーダンと幸せに暮らしている。ある夜、ポールが病院から緊急呼び出しがかかり、不在にしている間に三人組の強盗が家へ押し入り、妻は撃ち殺され、娘は頭を撃たれて昏睡状態になる。
担当刑事は数多くの事件を抱え込んでおり、なかなか捜査が進展しない様子に苛立つポール。ある日ひょんなことから入手した銃を持ち帰り、ネット動画で銃の扱い方を覚え、人気のないところで射撃の練習を行う。ある夜、銃を持って治安の悪いエリアをうろついているとカージャックの現場に遭遇し、二人組の犯人を射殺。その様子は撮影されており、刑事が公開しないでほしいと依頼するがときすでに遅しで、ネットで話題になる。フード姿で犯罪者を撃つ男は「グリム・リーパー(死神)」と呼ばれ、街は彼を英雄視する声と、非難する声で世論が割れる。ポール・カージーは警察の捜査を横目に、家族を襲った犯人たちを自力で探し出し、そして確実に仕留めていく。
鑑定報告(Ver 1.4基準)
※採点基準の概要は「リベンジ映画鑑定要領(概要)」をご覧ください。
| 1 不条理(過失相殺) | 5/5 |
| 2 喪失(損害規模) | 4/5 |
| 3 被侮蔑(ナメられ) | 3/5 |
| 4 報復対象(安定性) | 3/5 |
| 5 敵の悪(邪悪性) | 4/5 |
| 6 後味(生存希望) | 4/5 |
| 7 配役(適正顔) | 3/5 |
| 8 演技(感情伝達) | 3/5 |
| 9 演出(爆発の美学) | 3/5 |
| 10 伏線回収(因果応報の設計) | 2/5 |
| 11 倫理の納得感(観客同調) | 2/5 |
| 12 敵の歯ごたえ(障害強度) | 2/5 |
| 基礎点合計(1〜12) | 38/60 |
基礎点の根拠
1 不条理:5/5
妻や娘に落ち度はない。完全に不条理だ。ただ、顔を切ったり熱々のお湯をかけるなどの反撃を行い、結果的に犯人の顔を見てしまったという不運もある。
2 喪失:4/5
妻は射殺、娘は頭を撃たれ一命を取り止めるが意識不明の重体だ。
3 被侮蔑:3/5
相手がポール・カージーとも知らず強盗に入る。普通はその名を聞いたら避けるはずだ。
4 報復対象:3/5
本丸は我が家を襲撃した犯人だが、偶然遭遇したカージャック犯2名と、少年に怪我を負わせたアイスクリームマンの合計3名を射殺しており、ターゲット選定の一貫性に欠ける。
5 敵の悪:4/5
強盗目的で押し入り、結果的に妻を射殺し、娘に重体を負わせた罪は重い。
6 後味:4/5
ポールは罪にも問われず、娘は回復して大学へ行く。表向きは明るい再出発だ。しかし、娘の意識が回復して以降、殺された妻は最初からいなかったかのように感じさせる演出には違和感がある。
7 配役:3/5
ブルース・ウィリスが銃の扱いが素人という設定には違和感しかない。
8 演技:3/5
配役同様ブルース・ウィリスのそれは完全にプロの殺し屋スタイルだ。アイスクリームマン殺害シーン以降、クラブでの銃撃シーン、ラストにノックスにとどめを刺すシーンなど、ジョン・マクレーンが帰ってきた感があり、非常に味わい深い。
9 演出:3/5
自動車整備のジョーを拷問したあげくに車で潰すシーンはやり過ぎに見える。はたしてこの映画にゴア描写が必要なのか、ポール・カージーもはや正義の死神ではなく、ただの猟奇殺人鬼だ。
10 伏線回収:2/5
ポール・カージーが外科医であり、病院に運ばれてくる負傷したマフィアから銃をくすねたり、奪われた時計やスマホがヒントになって犯人達にたどり着くという仕掛けだ。テレビCMで流れた銃のセットもラストで役立つ。
11 倫理の納得感:2/5
自警ものらしく、自身の復讐とは直接無関係な街の犯罪者にも私刑を下すということに対する違和感は当然あるが、本作はそれだけではなく、ジョーを拷問し殺害したポール・カージーの人格そのものに対する違和感が大きい。
12 敵の歯ごたえ:2/5
クラブで死闘を繰り広げた主犯のノックス以外は強敵ではない。ただ、盗品屋に現れたフィッシュはあと一歩でポール・カージーを倒すところだったが、上から落ちてきたボーリングの球が頭に直撃して形勢が逆転したため、ポール・カージーにとってはラッキーな面もある。
13 決着成立度(倍率): ×4
ポールは主犯のノックスを最後に仕留めて、ターゲットは全員始末した。チャールズ・ブロンソンの『狼よさらば』との違いだ。
最終鑑定点:152/300(基礎点合計×決着成立度)
格付け:D級(不発)
総評
『デス・ウィッシュ』(2018)は、1974年のチャールズ・ブロンソン版『狼よさらば』の論点を再解釈した映画だ。チャールズ・ブロンソンのポール・カージーは本来の仇に辿り着けないまま、街の無関係な犯罪者を撃ち続ける映画だ。しかし本作は関係者以外も倒すが、基本的には自身の妻子を殺した犯人に対する報復がメインであり、もれなく決着も付ける正統派復讐映画だ。しかも主演はブルース・ウィリスだ。だが、本作はあまり爽快感は無い。
家族の仲睦まじいシーンは見せる。しかし、犯人達による妻子襲撃シーンはぬるめ、その後の犯人達に対する憎しみの積み増し演出も弱い。そして前振りが弱いまま整備工場でジョーを拷問して殺害するシーンを見せる。メスで坐骨神経を切ってブレーキフルードを流し込み、車を落として潰し、中身が飛び出すところまで見せる。しかもジョーは主犯ではない。ここで完全に引く。アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ(2010)も凄惨な復讐だが、そこに至る怒りの燃料の積み上げが強いことと、何よりも被害者本人が目には目を的な方法で行う復讐の強さが相殺する。ビーデビルも同様だ。そう考えると果たして本作にその強烈なシーンは見合うものなのか疑問だ。
雑記
殺された妻に対する言及はあるけれども、特に娘の意識が戻ってから最後まで完全に忘れられているかのような扱いなのが不憫でならない。せめて最後に娘と2人で墓参りするシーンでもあれば良かったのにと思う。


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