作品情報
| 邦題 | スペシャリスト |
| 原題 | The Specialist |
| 公開年 | 1994 |
| 製作国 | アメリカ |
| 監督 | ルイス・ロッサ |
| 主演 | シルヴェスター・スタローン、シャロン・ストーン |
概要
『スペシャリスト』はメイ(シャロン・ストーン)が幼い頃に殺された両親の仇討ちである。大人になった彼女は爆弾のスペシャリストであるレイ(シルヴェスター・スタローン)に接触し、レオン一家を消してほしいと依頼する。さらに「エイドリアン・ヘイスティングス」と名乗ってトマス・レオンに近づき、恋人を装って一家の内側へ入っていく。
だが、この映画はメイの仇討ちだけではなく、途中から大きく絡んでくるのがネッド(ジェームズ・ウッズ)である。レイの元上官で、今はレオンの組織の一員として働いている彼は、メイの計画を利用してレイを引きずり出そうとする。ここから話はメイがレオン一家に報いる話と、ネッドがレイに決着をつけようとする話が交錯する。
この映画は、二つの話をつなぐ部分が説明不足だ。ネッドは自分がメイに偽名を用意し、一家の内側へ送り込んだと言う。だがネッドがどうやってメイの事情を知り、どういう形で取引を持ちかけたのか、肝心なところはほとんど描かれないので想像するしかない。
カタルシスに必要な燃料そのものは濃い。幼い頃に両親を殺された娘が大人になり、爆破の専門家に依頼して敵を爆破する。だが、カタルシスはそれほどでもない。メイの幼少時代のエピソードや、ジョー・レオン達の悪事がもっと詳しく描かれていればと思うと残念だし、プロットの良さや豪華キャスティングが生かし切れていない。
鑑定報告(Ver 1.4基準)
※採点基準の概要は「リベンジ映画鑑定要領(概要)」をご覧ください。
| 1 不条理(過失相殺) | 5/5 |
| 2 喪失(損害規模) | 5/5 |
| 3 被侮蔑(ナメられ) | 3/5 |
| 4 報復対象(安定性) | 3/5 |
| 5 敵の悪(邪悪性) | 4/5 |
| 6 後味(生存希望) | 4/5 |
| 7 配役(適正顔) | 3/5 |
| 8 演技(感情伝達) | 3/5 |
| 9 演出(爆発の美学) | 2/5 |
| 10 伏線回収(因果応報の設計) | 2/5 |
| 11 倫理の納得感(観客同調) | 3/5 |
| 12 敵の歯ごたえ(障害強度) | 4/5 |
| 基礎点合計(1〜12) | 41/60 |
基礎点の根拠
1 不条理:5/5
メイは幼いころに目の前で両親を殺された。メイの父がレオン一家にとって都合の悪いものを見たために一家ごと消される話であり、不条理は最大級だ。
2 喪失:5/5
父も母も失う。しかもその場面を自分の目で見ている。子どもの記憶そのものが惨劇で固まっている。喪失は重い。
3 被侮蔑:3/5
レオン一家は口封じで一家を消すが、相手を見下しているわけではない。
4 報復対象:3/5
メイが狙う相手はレオン一家で明快だが、映画全体ではネッドのレイへの報復が大きく食い込む。メイの仇討ちだけを追う話になっていない。
5 敵の悪:4/5
レオン一家はメイの両親を殺し、その後も平然と生きている。ジョーはメイの両親殺害の指示を出したと自白しており、情状酌量の余地はない。
6 後味:4/5
復讐を果たしてメイとレイは車で去って行く。希望のあるエンディングだ。
7 配役:3/5
スタローン、シャロン・ストーン、ジェームズ・ウッズという豪華キャスティングだ。スター映画として興行的には成功したようだが、映画の出来の善し悪しは別問題だ。
8 演技:3/5
スタローンはやはり怒りに燃えるキャラクターが似合っている。ジェームズ・ウッズのサイコパス的な演技が光る。
9 演出:2/5
爆破の見せ場は多い。だが、メイの復讐に至る怨念の演出は弱い。
10 伏線回収:2/5
後で意味を持つ材料はある。ただ説明が足りないまま進む場面が目立つ。ネッドとメイの取引がどう始まったのかを見せないのはマイナスだ。
11 倫理の納得感:3/5
メイが自分の両親を殺した犯人達を銃撃でも薬殺でもなく、爆殺したいと願う気持ちに異論は無い。
12 敵の歯ごたえ:4/5
レオン一家は敵として苦労する相手ではないが、ネッドは元CIAの工作員であり、警察も動員してメイとレイを追い詰めてくる。
13 決着成立度(倍率): ×3
メイ自身が手を下したわけでは無いが、レオン一家もネッドも倒して復讐完了。敵のボスはメイから送られてきたロケットを開いて爆死するが、そのロケットにはメイの家族写真がセットされており、そのようなエンディングにするのであればなおのことメイと両親のエピソードがあれば良かった。
最終鑑定点:123/300(基礎点合計×決着成立度)
格付け:D級(不発)
総評
『スペシャリスト』は、執行カタルシス型リベンジ映画に必要な概念としての要素はあるのだが、メイに同情するようなエピソードがまるで無いのと、ネッドやレオン一家の悪事も描かれていないため、用意された燃料が圧縮されず、結果的にカタルシスにはつながらない映画になってしまった。キャスティングもアイデアも良いだけに残念だ。

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